「知覚過敏」と言う言葉は、テレビなどでもよく耳にします。
冷たいものを口にした時、歯を磨いている時などに、 虫歯でない歯が瞬間にしみたり、不快を感じる症状の事。
知覚過敏は、一般的な虫歯のように「原因を取り除いてすぐの治す」事が出来ません。
一旦症状が出てしまうと完全に治す事も難しく、気よく治ってくれない、患者さんにとっても医師にとっても困った病気です。
この解決法を探ります。
知覚過敏は主に、①歯ぎしり ②くいしばり ③強いブラッシング による歯と歯肉へのダメージから起こります。
歯の大部分は象牙質と言うデリケートな組織で作られており、歯への刺激は、象牙質を通って神経へと伝えられます。
健康な歯は硬くて丈夫なエナメル質と健康な歯肉が表面を覆って守っているので、冷たいカキ氷でも、アツアツのおでんでも歯がしみる事はありません。
しかし、強いブラッシングは歯肉の退縮やエナメル質の摩耗を招き、また歯ぎしりやくいしばりは、その強い力によって歯と歯肉の境目に余計な負担をかけ、歯の表面に亀裂ができたり、歯肉が下がって象牙質を露出させてしまいます。
その結果、象牙質は少しの刺激でも敏感に反応し、しみる症状が出るのです。
軽度の知覚過敏であれば、通常1~2週間程度でおさまりますが、露出している象牙質は虫歯になりやすいので、歯科医院へ行ってチェックしてもらいましょう。
症状の度合いによって、以下の様に治療方法も変わります。
●薬を塗る
(薬で象牙細管を塞ぎ、刺激を伝わりにくくします)
●歯の表面を薄いプラスチックでコーティングする。
(エナメル質の代わりの保護膜を作ります)
●歯の一部を削ってつめる。
(強いブラッシングで刳られてしまった歯の場合)
●神経を抜く
(重度の知覚過敏の場合)
一度退縮してしまった歯肉や、減ってしまったエナメル質は元には戻りません。
歯ブラシの毛先がすぐ開いてしまう人はブラッシングが強すぎる証拠です。
歯と歯肉をチェックし、正しいブラッシング方法を身につけましょう。
早い目気づく事が、自分の歯と歯肉を守る第一歩です。
歯ぎしりやくいしばりをする人は、保険治療のきく防止用マウスピースを入れて寝ることをお薦め致します。
また、市販されている知覚過敏の歯磨き剤を使用したり、フッ素やフッ素入りのMIペーストで歯質うぃ強化するのも良いでしょう。
虫歯の治療後も、歯がしみることがあります。
これは、虫歯の部分を取り除いた分だけ神経に近くなるので、口の中の刺激が神経にすぐ伝わるためです。
また金属をつめた場合に、元の象牙質に比べ熱が伝わりやすいので、しみる感じも強まります。
歯は神経を守ろうとして新しい象牙質(第二象牙質)を作るので、これが形成されれば染みなくなります。
それまでの期間はしばらく様子を見る事にしましょう。
人間は、何もしていない安静時は当然のこと、力仕事などの場合以外は、上下の歯を接触させていないのが普通です。
テレビを見たり、本を読んだり、パソコンに向かったり、料理をしている時、もしも上下の歯を噛みあわているとしたら要注意です。
それはTCH(Teeth Contacting Habit/歯牙接触習癖)と言われる病的な状態です。
TCHのある人の多くが、いわゆる顎関節症や歯ぎしりを発症していきます。
眠っている間に歯切りしやくいしばりが原因となっている事が最も多いと考えられます。
TCHは自分の意識である程度コントロール出来ますが、残念ながら歯ぎしりやくいしばりを確実に治す方法はありません。
また、殆どの場合は、原因の特定が困難です。
しかし、それが原因で引き起こされる歯や歯周病組織の破壊は「歯ぎしり防止装置(ナイトガード、スプリント)」を装着する事でくい止める事が出来ます。
つまり、噛む筋肉や舌組織に力が入り過ぎる事が口腔内でのいろんなトラブルを引き起こす、と言う事です。
余計な力を入れずに、肩の力も、口の力も抜いてリラックスして生きる事が、健康の秘訣です。